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笑う山男

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笑う山男

これは師匠が、ある山に登った時に遭遇した恐ろしい話です。

“師匠”とは元会社の先輩で、

自分に山の厳しさと楽しさを教えてくれた人です・・・

師匠はある山に登山中、足場の悪い場所で体勢を崩し、

10数メートル下まで滑り落ちてしまいました。
 
不幸中の幸いで、大きな怪我も無かったため、なんとか
元いた付近まで這い上がってくることが出来たのですが、
周囲は既に暗くなり始めていました。

『まずいな。簡易テントを持ってこんかったから、暗くなる
前に野宿する場所を探さなあかん。。』

しばらく野宿の場所を探しながら歩いていると、

前方に 古くて小さな山小屋が見えてきました。

『よかった。今日はここで泊まろう。』

山小屋の横に水溜めがあったので、覗いてみると
水は入っておらず、枯れ葉が積った上に蜘蛛の巣が張っていました。

『えっ!?・・人がほとんど使ってへんのかガーン汗??』

気味が悪いと感じつつも、小屋の扉を開けて中に入りました。
当然、小屋の中には誰も居りません。

その小屋には窓がひとつも無かったため、入り口の扉を閉
めると中は真っ暗になりました・・・

『かなり気味が悪いけど、外で寝るよりはマシやと思わなあかん・・』



そして

ザックを床に降ろし、中からシュラフ(寝袋)を取り出し、眠る準備を始めました。 

シュラフに体を入れると、疲れと安堵のせいか、直ぐに眠りに付きました・・・

何時間くらい眠っていたんでしょう??

はっ!は!は!は!・・・・・ぁ~っ・・!!

師匠は男の笑い声で目を覚ましました。

『なんや??』

その笑い声は山小屋の外から聞こえてきます。

『こんな時間に、こんな場所を通る登山者なんておらんはず・・汗』

しばらくすると、その笑い声は山小屋の周りを回り始めました ・・

はっ!は!は!は!・・・・・ぁ~っ!は!は!は!は!・・・・・ぁ~っ!!!

『こっ、小屋の周りを・・回り始めて・・あせる』

そして、山小屋の扉がゆっくりと開きました・・

『あっ!?入ってくる・・!!??』

ひゃっ!!は!は!は!は!・・・・・ぁ~っ!は!は!は!は!・・・・・ぁ~っ!!!

笑い声はゆっくりと近づいてきます・・

『目を開けてはあかん!!』

直感的にそう思いました。

笑い声の主は師匠のシュラフを通り越し、

ザックを開けて、

ガサガサ・・・

何かを探しているようです、

その直後

笑い声の主は、師匠の頭のすぐ横に近寄り、

何度も師匠の顔を覗き込んできました。。
(目をかたく閉じていたのですが、気配でそう感じたそうです。)

『目を開けてはあかん!絶対目を開けたらあかん・・・(汗)!!』

しばらくすると、その笑い声の主はゆっくりと

山小屋の出口付近に向かい、

徐々に遠ざかって行きました・・・



長くて怖い時が過ぎ、

夜明けになると

出発の準備を済ませた師匠は出口の扉の方に向いました

すると、

扉付近の壁に登山者のものらしい書き込みがあるのに気づいたのです・・・

『んっ!?なにか書いてある・・・』

そこにはこう殴り書きされていたそうです

“この山小屋には男の霊がでます ”

もっと見やすい入り口に書いとけよ!!ってツッコミたくなりますが、
自分が当事者やった場合、冷静にいられたんやろか??

多分、山小屋近くで遭難か事故で亡くなられた登山者の
霊やったんやろな。 遭難者の霊が登山者のテントに寄ってくる
って聞いたことがあるし・・

恐らく、この霊はザックの中の水を探してはったんやと思う。

御冥福をお祈りいたします。


 
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