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山小屋の死体

山小屋の死体

これは私の親戚の叔父さんから聞いた話です。

心霊体験と呼べるかどうかは判断が難しい話ですが、とにかく奇妙な体験です。

私の叔父さんは元警察官です。正確には鑑識です。

ある日、とある山小屋の中から死体が見つかり殺人事件の死体遺棄現場なのではないか? という事で現場検証が行われる事となりました。叔父さんも鑑識の一人として駆り出され山小屋に向かいました。

山小屋の中は死体はすでに片付けられていて白い人型のテープが貼られていました。

先行して来ていた鑑識スタッフと合流した叔父さんは、一緒に指紋採取などを行い事件解決の手がかりとなる証拠を探していました。何人か刑事も合流し、犯行現場での推理分析が始まりました。いくつかの推理が巡らされ、「計画による殺人」なのか「突発的な殺人」なのかを議論したりしたそうです。

その場ではまだなんとも言えない状況だったので、鑑識班は少しでも多くの手がかりを見つけるべく細かい仕事に没頭しました。

そのような現場検証は数日間続き、しばらくして山小屋での捜査はお終いになると、次は遺体の身許の洗い出しや犯人の特定を急ぐ事になりました。

叔父さんの身辺に不思議な事が起こり始めたのは、その山小屋での捜査が終了してからでした。



まず、叔父さんが一人なると、どこからともなく木魚の音が聞こえてくるという現象に見舞われました。部屋に居ても、職場にいても、トイレに居ても、何処に居ても、一人っきりになると木魚の音が聞こえてくるんだそうです。叔父さんが言うには、鑑識という仕事の手前、人間の原型をとどめていない凄惨な死体や、無念の表情で死んでいる死体なども目撃してしまうため、精神的にマイってしまう事もよくあるという事らしいのですが、その日まで怪奇現象や心霊現象というものに遭遇した事は無かったそうです。叔父さんは人間の死に多く触れる職業のためか、霊魂の存在を信じている人でした。

木魚の次は幻覚です。叔父さんは次第に幻覚を見るようになったと言います。常に視界の片隅に何かが入り込んで来るらしいのです。目障りだと思って首を振っても、頭の向きを変えても、その何かは視界の片隅にへばりついて動かないらしいのです。そして、その何かの視線を常に感じるようになってノイローゼになりかかったそうです。常に視線を感じていると監視されているような気分になるらしく、精神的に不安定になって気性が荒くなって、物への八つ当たりがすごかったそうです。そして、だんだんと身体そのものにも不調が出始めて、右半身が突然痺れたり、片方の肩だけがズンと突然重くなったりという事が頻繁に起こり始めたという事です。

さらに、眠ると「真っ暗な夢」ばかり見るようになったそうです。「真っ暗な夢」とは、辺り一面、視界の全てが真っ暗で、なお且つ、自分が今眠って夢を見ているという自覚が有るんだという事でした。そのため眠った感覚が無く、ずっと起き続けている気分なんだそうです。 そんな日が続いて、叔父さんは心身共に疲れ果てていったと言います。

そんな状態のまま、山小屋の死体遺棄事件の真相解明に従事していたのですが、ある日、とんでもない事件が起きてしまいました。なんと、鑑識班の一人が自宅で首を吊って自殺してしまったのです。遺書が無かったので自殺の理由は定かではありませんでしたが、家庭や私生活に自殺を招くようなトラブルは無かったとの事でした。

仲間の自殺に気が滅入っている中、鑑識班の一人が、「山小屋での捜査以来、霊現象のようなものに悩まされている」という告白をしました。もしかしたら、自殺した同僚もそういった現象に悩まされて、精神的に耐えられなくなって突発的に首を吊ってしまったのではないか? という話です。なんと、怪奇現象に悩まされていたのは叔父さんだけではなかったのです。あの山小屋に出向いていった捜査員全てが同じような怪奇現象に悩まされていたのです。



叔父さん達は、ダメ元でも良いからとみんなして神社に行き、お祓いしてもらいました。それ以来、怪奇現象はピタリと治まりました。そしてその時、お祓いをしてくれた神社の人に「今あなた達が捜査している事件は拝み屋ヽヽヽの領分のものです。直ちに手を引きなさい。今ならまだ間に合います」と言われたそうです。

しかし、そう言われたからといって、簡単に死体遺棄事件の捜査を放棄するわけにはいきませんので、不安を感じながらも引き続き捜査を続行していると、ある日、何の説明も無く、突然上司から捜査の中止を命じられたそうです。そして、今後一切この事件に関わることを禁止するという通知を受けたそうです。

という事で、その山小屋で見つかった死体が何者で、一体誰がどういった理由で殺害したのかは分からなくなってしまいました。叔父さん達の身の回りで起こった怪奇現象は、山小屋の死体の霊が起こしたものだったのでしょうか?

叔父さんは今でもその事件に興味が有るようですが、真相を探るための行動はしたくないそうです。


 
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出典元:山小屋の死体
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