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男体山の指導霊

山にまつわる怖い話

男体山の指導霊

もう5年も前の話になるけど、登山を始めたばかりの夏でまだ色々と舐めてた頃
初めての男体山で12時前頃に入山して、あまりのキツさにコースタイムよりずっと時間が掛かってしまい、登頂した時は3時半過ぎ
疲労困憊でそこから1時間も休憩してしまい、慌てて下山開始
ようやく2合目の樹林帯に差し掛かった時には6時過ぎてて森の中はかなり暗かった
ヘッドランプも持ってなかった初心者丸出しの俺は、完全に暗闇になって行動不能になる前に二荒山神社に着こうと必死になって下っていた
ふと背後に人の気配を感じて振り返ろうとした時、気配の主は俺の横をすり抜け猛スピードで追い抜いていった



横に並んだ瞬間、チラッと確認できた青白い顔は中学生くらいの少年で、白いパーカーを被って半ズボンでザックは背負ってなかった
こちらに全く視線さえ向けず、暗闇でライトも点けず、足場の悪い登山道を信じられないスピードで駆け下りて行く
あっというまにその後ろ姿が見えなくなったと思ったら門の手前の石段が表れて‥
ホッとして涙が出そうだったが、そこで我に帰ってひとつの疑問が浮かんだ
下山を開始する時、山頂には俺以外誰も居なかったんだ
下山中に誰も登って来る人とスレ違う事はなかったし、もちろん俺が抜かした人も居ない
つまり、俺の後ろに誰も居なかったはずなのに、あの少年は何処から現れたのか?
遠ざかる少年の後ろ姿は暗い森の中ハッキリと見えて、非現実的な光景だった
今になって思うに、あれは無謀な登山初心者を心配して現れ、二荒まで導いてくれた山の指導霊だったのかもしれない。


 
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出典元:【怪奇】山の怖い話【超常現象】その弐
http://kowai-story.net/archives/

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