あるはずの無い山小屋
新年の初日の出を山頂で迎えようと夜中に出発。
その山は普段あまり行かない馴染みの薄い山だが、たまには勝手が違う山も面白いという理由。
爺さんが山の8合目辺り(?)で山小屋を発見したので休息しようと近づく。
山小屋は真っ暗で何故か入口が封印されていたが、裏口の戸は開いてたのでそこから中に入る。
中には先客がいて、7人が棒の様に横たわっており、爺さんが挨拶しても生気が無い様にガン無視。
薄気味悪くなったが干渉せずに仮眠。
やがて夜明け近くなったので再び山頂目指して出発。
無事辿り着いて初日の出も見れた、やった一番乗りだ!と喜んだでいたら、
リュックサックが7つ放置してあるのを発見。
残念、先を越されたかと思ったが、辺りに自分以外の人の気配は無い。
しばらくその場に留まってみるが持ち主が現れる様子もない。
ひょっとして集団遭難かも知れないので、通報する為に下山することに。
下山途中、7合目(?)辺りに登山時には見つからなかった山小屋を発見。
こちらは煙突から煙が上がって人の気配がする。
中に入るとマスターが朝食の準備をしているので、爺さんが事情を話すと、昨日から登山者も下山者もおらず、爺さんが最初だという。
そこで爺さんが、昨夜からの8合目の山小屋に7人位の集団がいたことや、山頂に人数分のリュックが放置してあったことを伝える。
するとマスターが顔を曇らせて、
「この山には此処より上に山小屋は存在しない。二度とこの山には登らない方が良いです、二度目は無いです」
との事。
爺さんが驚いて、えっ?どういう事?と訊く。
マスターによると、この山では数年前から、山頂~7合目辺りをずっと行ったり来たりしている謎のパーティーの存在が報告されていて、山頂に数人分のリュックが放置してある事も一緒。
山頂で持ち主不明のリュックが複数放置されてる現象がある、というのはどう考えても不自然だが、地元の警察や消防団も正体が判らない(具体的に誰がどこで遭難したという事実も無い)ので、 今では似た様な連絡が入っても「またか」という反応で、相手にしないらしい。
因果関係があるとすれば、数年前に近くの山で何人か亡くなっている遭難事件があるが、何でこの山に出てくるのか判らない。
とにかく、その7人は爺さんに憑いて来てる可能性が高いので、此処から一人で下山しない方が良い、帰りに大怪我して命を落として彼らの仲間入りしたくは無いでしょう、との事。
爺さんガクブルしてると、丁度日帰り登山の別パーティーがやって来たので、事情を話して一緒に下山してもらって無事生還。
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出典元:怖い話図書館
https://kowahana.net/2018/07/16/