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白山の避難小屋

白山の避難小屋

石川県・白山連峰の麓で猟師をしている男性から直接聞いたという本当に不思議な話です。
ある猟師の人が若い頃の話です。猟を始める前に山の上で遊歩道を整備したりするバイトをやってたそうなんですが、ある日その仕事をしていると、天気悪くなってきたので、仕事を切り上げて、二人の仲間と避難小屋に入ることにしたそうです。
しかし、入口が凍りついてなかなか開かない。大の男三人で力を合わせてもなかなか開かなかったそうです。凍ってるし、古い建物なので、曲がってるということもあったんでしょう。しかし、入れないと大変ですから、必死になって、なんとかこじ開けたそうです。
それで、やっとのことで中に入り、もちろん扉を閉めて、持ってきた食べ物なんかを食べて落ち着いていたんだそうです。外はすごい雪になっていました。
するとそのうち何か音がした。あれ?って思って聞いてると、ゴウゴウゴウゴウ風がする中で「シャン」っていう音がするんですよ。それがある一定の間隔でシャン シャンって音がする。それが段々段々はっきりと聞こえるようになってきて、近寄ってくるのがわかる。
そのうちに、山伏が持つ杖の上に付いている鈴の音だとわかったそうです。それが段々近づいてきて、小屋の前に来たのがわかった。すると、今度は小屋の周りを回り出しました。その「シャン、シャン」という音は全員聞いてるんですよ。
誰かが、「開かないから困ってるんじゃないか」と言ったそうです。確かに、屈強な山の男三人で開かないわけですから、一人の力で開くはずがないわけです。だから「開けてやったほうがいいんじゃないですかね?」って言ってたけど、今度はそのシャンっていう音が聞こえなくなった。



どこかへ行ってしまったかな?って思ってたら、いきなり今度は天井でドンっていう音がするんです。そして今度は屋根を歩く音がするんですよ、「ミシ ミシ」と。それと同時にシャンっていう音がする。あ、屋根の上を歩いてると。
「さすが山伏だ」なんて言っていたけど、そんなわけはない。これはこの世のものじゃないってみんな思ってるんですが、でもそう思うと怖いから山伏が歩いてると思うわけですよね、必死に。
そのうちそれが止んだから、「あーよかった。どっか行ったのかな。」と思ったら、さっきまでみんなで苦労して開けた戸がですね、ピシューッ!って開くんです。一瞬で!。三人がかりでバールを突っ込まないと開かなかった扉がシューンて開くんですよ。そして外からブワーッと吹雪が入ってくる。もう誰も目は開けていません。みんな目を瞑って念仏を唱えていた。しばらくそうやって念仏唱えていたら、扉がピシャーンと閉まったそうです。それでもしばらく誰も顔を上げなかったってそうです。
この話はすごく怖いなと思ったんですよ。場所もはっきりわかってるんだけど、それを言うと登山者の人が怖がるからやめてくれって止められてるんです。白山にはたくさん登山者の避難小屋がありますからね、そのどれか一つです。
いったいどこなんでしょうね。このお話は山怪 山人が語る不思議な話より詳細に書かれています。


 
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