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新型コロナウイルス感染者の体験談⑨

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染者の体験談⑨

福岡県に住む30代の男性は一時、重篤となり、福岡大学病院でECMO=人工心肺装置による治療を受けて回復しました。専用病棟のガラス越しに電話で話を聞きました。
前の日までなんともなかったです。というか、なんだったらその日の朝もなんともなかったです。昼に家に帰ったら、突然、階段をのぼるのがつらい。息切れが激しくて。

だってほんとに、1日前まで全然なんともなかった階段で、次の日の昼になったらのぼるのがつらくなるって、まれじゃないですか。おかしな話なんで。苦しいと言っても、苦しさの度合いは人にもよるかもしれないですけど、僕の場合はもともと運動してたんで、階段のぼったぐらいで息切れるってなかったんで。「あー、なんかおかしいなー」という感覚でした。

「これはやばい」と思って病院に行ったら、もうその場で入院って言われて、「え、なぜ?」というイメージでしたね。

そこから先は(症状は)何も変わらないんですよ。熱は37度あるかないかぐらいだったんですよね。苦しいだけで、味も変わらないし、熱も別に出てこないし、「まあ肺炎なのかな」ぐらいでいたら、コロナでしたね。
いやー、それが全く思い当たる節が1つもなくて。同じ行動した人間は1人も(新型コロナウイルス感染症に)なってないんですよ。
そこからはめちゃ早かったです。すぐ呼吸のやつ(人工呼吸器)を入れられて、気付いたときにはこの病院にいたという。

「両側肺炎」って言われて、それを調べるために検査をやらなきゃいけないって言われて、そこから3日間ぐらいは意識あったんですけど、もう(その後)2週間ぐらいは意識もなくなる状態までいったんで。(人工呼吸器をつけるときに)いちばん最初に言われたのが、「目が覚めたら生きてるよ、覚めなかったら死んでるよ」っていうふうに言われた。「あ、人間ってこんな感じで死ぬんやな」って思ったですもん。
正直、どんな装置かよく分かっていないんですよね、そこまで。「志村けんさんが使った」っていうぐらいのイメージしかない。なんかあれですよね、血液を体の外に取り出してきれいにしてみたいなのを勝手にやってくれるから肺を休ましてくれるみたいな。

でも扱える先生がめちゃ少ないとは言ってたんで、だから「運がよかったね」って言われて。僕の親からも「ECMOをちゃんと使える人が少ないよ。ここの先生がすごくECMO使えるっていうので、たぶんこっちに移動したんだと思うよ」って言われて。

その先生がいなかったら、もしかしたら死んでたかもしれないし。その可能性はいっぱいあるんで。そこまで重症になるんだなって。重症になるまでが一瞬なんだなっていうのがいちばんびっくり。怖さというか、たぶん一瞬ですよ。一瞬で死ぬまでいってしまう感じはする。

「持病がある」と言われたことはないです。健康というか、人よりでかいんで、健康ではないかなと思うけれども、ただこんなに簡単に悪くなるんだというのは思ってなかったですね。
ここの病院に来てからは、昼間は記憶があいまい、なんかまあ起きたり寝たりというのをずっと繰り返してみたいな感覚で、ちゃんと覚えているのは(人工呼吸器の)管が抜けてからですかね。(それまでは)どこが現実なのか、現実じゃないのかがわからない。そこ(人工呼吸器を外して)からは、早かったんじゃないですかね、体調良くなるの。ちょっと微熱が出たり、熱が上がったり下がったりを繰り返して。体調は全然良くなりましたね。

退院したら、運動がしたいです。体を動かしたい。それはもううれしいですよ、もちろん。やっと体を好きなように動かせるんで。

とりあえず感謝しかない、先生たちに。自分1人の命を救うために20人ぐらい(医師や看護師などが)動いてますからね。それだけの人が1人のために動くというのは、俺の中ではすごいなというのがあって、まず感謝がいちばんでかいかなと感じます。

「息切れしたらやばい」と思ったほうがいいんじゃないですか。一瞬で悪くなると思うんで。気をつけろと言われても、気をつけようがないんでしょうけど、一瞬で悪くなるからほんとに。誰か頼れる人がいるなら頼ったほうがいいし。あとは、病院関係の人たちが優先して自分たちの体の検査をできるようにしておかないと。

僕の場合はたまたま運がよかったからであって、ここの先生たちが一生懸命動いてくれたんで。まず医療関係の人たちが(検査)しないと死んじゃいますよ。お医者さんに感謝したほうがいいと思います。「医者がいるから日本人は生きていける」と思うぐらい、僕は感謝しているんで。


出典元:ECMOの治療で回復の男性「重症になるまでが一瞬」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/testimony/detail/detail_13.html

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